ほーんと、この仕事はしょうもねーなー。
歩いて歩いて歩いて。
無駄に歩いて台車を探す。
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あっ!あったぁ!
と思ったら、すでに待っている人がいて、結局台車を確保することができない。
周りを見渡せば、他のドライバーたちもあてもなく台車を探し歩き回っている。
みーんな目が死んでいる。
死んだ魚の目とはこういうことなんだと思った。
よく知らんがはるか昔のこと、木の板に4つのタイヤをつけることで生まれた台車。
原始的だが今の現代でそれを取り合う光景が僕の目の前には広がっている。
荷物をおろすために、何台も何台も必要で、そして台車の数だけちやほやされる。
なんだよこの仕事は……。
子供の頃、僕には夢があった。
それは大好きだったミニ四駆の設計者になりたかったんだ。
でも、その夢はミニ四駆から離れ、ポケモンカードが流行りだしてからはもう忘れていた。
レアカードを集め、追いかけることに夢中になった。目はキランキラン輝いていた。
でも、今じゃ廃人のように死んだ目をして台車を追いかけている。
なぜか台車を追いかけていたらそのことを思い出した。
あっそっか、ミニ四駆もタイヤが4つついてるじゃん。
台車を追いかけて、初めてみた夢を思い出した。
僕はこんな大人になりたかったのか??
違う、そうじゃない。そうじゃなかったと思う。
もっとイキイキと追いかけたいものがあったんじゃないか??
でも、考えてもその答えは見つからない。
だから、今は台車を追いかけるしかない。
空(から)台車を見つけ、荷台を空にしよう。
それしか今はできないんだ。
ほーーんと、何て仕事だ……参ったよ。
あの頃の目の輝きをもう一度取り戻したい。
僕はこんなもんじゃないはずなんだ。

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