トラックドライバーという仕事の最大の魅力は、「頑張った分だけ稼げる」ことだと思います。
走った距離、こなした仕事の量、時間帯、条件によっては手取りで月40万円以上、場合によっては50万、60万も現実的です。
ただ、それはあくまでフェアな環境であればの話。
どれだけ真面目に働いても、ずる賢く動くドライバーに美味しい仕事を全部持っていかれるような現場では、どんなに努力しても報われません。
そして、そういう構造が“普通に存在する”のが、残念ながら今のトラック業界の一部のリアルです。
「こいつだけ、なんでいつも楽なんだ?」と思ったことはありませんか?
僕が以前働いていた運送会社には、まさにそういうドライバーがいました。
顔を合わせるたびに思ってました。
「あれ?なんか、あいつだけ配車おかしくね?」
って。
その男は、毎日配車係の周りをウロウロしては、
「この仕事しんどいからやりたくない」
「この積み地、気に入らないから変えてくれ」
なんて、文句ばっかり言ってるんです。
最初は僕も「文句多いなぁ…」くらいで済ませてました。
でもある日、気づいたんです。
そいつ、ずっと楽な仕事ばっかりやってる。
積み地は空いてて待たされない、降ろし先はスムーズ、拘束時間は短い。
しかもそれなりに金になる。
完全に“勝ち組ドライバーコース”を独占してるんですよ。
現場の空気はどんどん悪くなる
一方で、他のドライバーたちはどうか。
朝も夜も関係なく、キツい現場に行かされて、荷待ち3時間、積み下ろしに汗だく。
下道メインで、睡眠時間もほとんどなし。
そして帰ってきて、例の“ズルい男”がのうのうと缶コーヒー片手にホームを歩いてるのを見るんです。
そりゃムカつきますよ。
「おかしいだろ…」
「なんであいつだけ、あんなラクな配車なんだよ」
そんな声があちこちでささやかれるようになりました。
配車係との“癒着”が生む不公平な環境
なぜそんなことが起きるのか?
一番の原因は、配車係との距離感です。
ズルいドライバーは、配車係の機嫌をとるのがうまい。
毎日顔を出してはペコペコ。
ちょっとした手土産を渡したり、ゴマをする。
そうやって少しずつ、関係を築いていく。
一方で、真面目なドライバーほど文句を言わず、黙々と与えられた仕事をこなしている。
結果的に「面倒を避けたい」という心理が働いて、ズルいやつに楽な仕事が流れていく。
これ、現場では“あるある”です。
文句の多いドライバーが得する。
おとなしい奴は損する。
理不尽だけど、これが現実。
辞めた仲間が教えてくれた“限界”
そんな中、僕の仲間が会社を辞めました。
その人は、遅刻も欠勤もせず、どんな現場にも嫌な顔ひとつせず向かう“鏡のようなドライバー”でした。
でも、ある日言ったんです。
「もう限界だわ。仕事に見合った給料も出ないし、あのズルい奴のせいで全部俺らにしわ寄せが来てる」
実際、彼が最後に担当した仕事は、
- 夜中に出発
- 片道7時間の下道ルート
- 積み降ろしは自分ひとり
- 荷待ちが5時間
- 帰ってきたのは翌日の昼
この仕事で、手取りにしたら1万円ちょっと。
「もう生活も回らんし、体もボロボロ。なんで俺だけこんな目に…」
気持ちは痛いほどわかりました。
ズルいやつは、いつか“ツケ”を払うことになる
「でも、そんな奴が勝ち逃げするんじゃないの?」
そう思うかもしれません。
確かに、短期的にはそうかもしれない。
でも、現場の人間は“全部見てます”。
そいつが小さなミスをした時、荷物を間違えた時、遅延を出した時、周囲のドライバーは一気に牙をむきます。
「今までどれだけ我慢してたと思ってんだよ」
「こっちの負担を全部押し付けといて、何様だよ」
一気に信用を失い、仕事が回ってこなくなる。
配車係の態度も変わる。
居場所を失って、自滅する。
そういう結末、実際に見てきました。
人間関係が職場の空気を決める。だからこそ思いやりを
結局、運送業も「人間関係」がすべてです。
荷物を運ぶのは一人かもしれないけど、
- 荷主とのやりとり
- 配車との調整
- 事故・遅延時のフォロー
- 代走・交代の対応
チームプレーが求められる仕事なんです。
だからこそ、自分だけ良ければいいという考えは通用しない。
むしろ、そういう考えを持つ人がいると、現場の空気が最悪になっていきます。
「自分はどうだろう?」と、一度立ち止まってみてほしい
もし、この記事を読んで「もしかしたら俺も楽な仕事ばっかり選んでるかも」と思ったなら一度立ち止まって考えてみてください。
- 他のドライバーに迷惑をかけていないか
- 自分が得することで、誰かがしんどい思いをしていないか
- このままの働き方で、信頼を得られるか
“効率よく稼ぐ”ことは悪いことじゃない。
でも、“ズルして稼ぐ”のは、いずれ自分の首を絞めます。
まとめ、配車の闇を断ち切るには、みんなの意識が必要
トラック業界は、まだまだ改善すべきところが多い業界です。
配車の不公平、待遇の差、文句の多いドライバーが得する仕組み。
でも、それを正すには、「現場で働く僕らの意識」が必要です。
- 真面目にやってる仲間を守ること
- おかしいと思ったことは、声に出すこと
- 利己的な行動を見過ごさないこと
そういう小さな積み重ねでしか、職場は変わっていきません。
最後に
僕がこの話を書こうと思ったのは、過去の経験を無駄にしたくなかったからです。
あの時、僕が抱いた「やってられねぇよ…」という気持ちを、今まさに味わっている誰かに届けたかった。
そして、願わくばズルい働き方が許されない現場、真面目に頑張る人が報われる職場、そんな環境が、少しでも増えていってほしいと思っています。
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