どうも、トラ介です。
僕はこれまで20年以上、トラックドライバーとして全国を走り続けてきました。
長距離にも地場にも、それぞれの大変さがありますが、共通してひとつだけ言える悩みがある。
それは「トラックが安心して止められる場所がない」という現実。
深夜、高速道路のパーキングに入っても満車。
トラックステーションに向かっても空きなし。
大型車対応のコンビニを探すも、先客がすでに何台も。
「しょうがないな…」と、やむを得ず人気のない道に路駐。
寝ても寝た気がしない。
ドライバーの多くが、こんな経験を持っているはずです。
なのに、世間の目は路駐は悪と決めつける。
過去にはあるニュース記事がSNSで話題になりました。
「高速道路のSAやコインパーキングを使え」など、現場を知らない人間が書いた内容に、僕は正直腹が立ちました。
駐車スペースが圧倒的に足りていない現状
では、なぜ僕らトラックドライバーは「路駐せざるを得ない」状況に追い込まれるのか?
その理由を冷静に見ていきます。
1. 高速道路のPA・SAのトラック枠が少なすぎる
夜間の高速道路を走っていると、SA・PAの大型トラックスペースはどこも埋まってます。
数台分しかないところもあって、深夜0時を過ぎるとまず空きはない。
「休憩を取れ」「仮眠しろ」と言われても、止める場所がなければどうしようもないのです。
2. トラックステーションの数と立地が偏っている
一部の大きなTS(トラックステーション)は便利ですが、全国にまんべんなくあるわけではありません。
都市部から外れた場所や、アクセスの悪い場所にあることが多く、日々の配送ルートに組み込みづらいのが実情です。
3. コンビニも「大型OK」は限られている
最近は「大型車歓迎」のコンビニも増えてきましたが、実際には配送業者の専用スペースだったり、地元の常連で埋まっていたり。
一般客とのトラブルになることもあるため、「コンビニに止めればいい」という考えも通用しません。
4. コインパーキングには物理的に入れない
ニュース記事では「コインパーキングに止めろ」と書かれていましたが、大型トラックが入れるわけがありません。
乗用車用の枠に止められると思っているのか?
とツッコミたくなります。
メディアの無理解。「節約のための路駐」じゃない
SNSでバズっていた某記事には、こんなことが書かれていました。
「トラックドライバーは経費節約のために路駐する」
「高速道路を使えば駐車も確保できるのに使わない」
これを読んだとき、怒りというより呆れました。
たしかに、昔の一部ドライバーにはそういう人もいたかもしれない。
でも、今の物流はそんなに甘くない。
高速道路に乗れない理由だってある
・ルートが下道指定の契約
・近距離配送で高速が不要
・高速利用が禁止されている案件もある
ドライバーの判断ではなく、会社や荷主の都合でルートが決まることも多いんです。
「ケチって下道」なんて、ドライバーの一存じゃありません。
経費が出る会社も多いが、「止める場所がない」事実は変わらない
「経費は会社が出せばいい」とよく言われます。
実際、多くの良心的な会社ではパーキングや宿泊の費用も経費として精算可能です。
でも、そのお金を使う場所(駐車場)が存在しないんですよ。
つまり、金の問題じゃない。場所の問題なんです。
現場ドライバーの声。「金より安心して寝たい」
僕が知る限り、ドライバー仲間で「経費をケチりたいから路駐したい」なんて人はいません。
本音はただひとつ、「安全に休憩したい」。
路駐をしていると、こんなリスクがあります:
- 警察に職質される
- 通報される
- 事故に巻き込まれる(追突や接触)
- 知らないうちに迷惑をかけてしまう
そんな状態で熟睡できるわけがありません。
仮眠どころか、緊張状態が続いて疲れが取れない。
それでもどこにも止められないから、やむを得ず、路駐せざるを得ないのです。
荷主や配車都合で時間調整待機せざるを得ない
もうひとつ忘れちゃいけないのが、荷主の「時間指定」。
「朝6時に来てくれ」「前日22時以降じゃないと入れない」
そんなケース、現場では日常茶飯事です。
時間通りに動かないと、怒られたり、仕事が切られたりもある。
だから、指定された時間のちょっと前に荷主の近くに着いて、待機しておきたい。
でも、そんな場所に都合よくパーキングがあるわけがない。
だから、できるだけ迷惑がかからない場所に一時的に路駐する。
これが今の物流の裏側にある現実です。
行政・企業・社会が考えるべき「3つの対策」
この駐車問題、ドライバー個人だけでどうにかなる話じゃありません。
メディアや行政、荷主企業、そして社会全体で本気で取り組むべき課題だと思っています。
① 高速道路のPA・SAの大型枠を増設すべき
ドライバー数が減っているとはいえ、物流量は減っていません。
それに比例して、大型トラックは今でも全国を走っています。
現場の実態に合わせた「駐車可能台数の拡大」が急務です。
② 地方自治体との連携による仮眠スペース整備
自治体と企業が連携して、深夜の空き地や公共施設の一部を「トラック仮眠所」として提供する仕組みができれば、ドライバーの負担は大幅に減ります。
長距離ドライバーを支えるインフラ整備は、地方創生や安全運転推進にもつながるはずです。
③ メディアは現場取材を徹底すべき
一番腹立たしいのは、現場を知らずに机上の空論を振りかざすメディアです。
現役ドライバーとして強く言いたい。
一度でいいから、深夜の高速道路のPAに行ってみろ。
一度でいいから、荷主の待機エリアの有無を確認してこい。
現場の声を拾わずに「節約が悪い」「路駐は迷惑」だけで片づけるな。
トラックが止められない国で、物流は回せない
僕らトラックドライバーは、金のためだけに働いてるわけじゃない。
安心して止めて、ちゃんと休んで、安全に走りたい
それが本音です。
「路駐は悪」だけじゃなく、「なぜ路駐せざるを得ないのか?」まで想像し、考えてほしい。
そして、物流を支える人たちが、もっと誇りを持って働ける環境をつくっていってほしい。
これを読んでくれたあなたが、ほんの少しでも理解してくれたら。
それだけで、今日も走る理由になります。
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