トラックドライバーは日本の物流を支える重要な仕事です。しかし、その業務には重大なリスクも伴います。
特に「てんかん」という病気は、突然発作を起こし、運転中の大事故につながる可能性があります。
この記事では、てんかんとは何かという基本的な知識から、法律や免許のルール、隠して入社することの違法性、そして働き方の選択肢まで、現場のリアルと共に徹底的に解説します。
てんかんとは?
てんかんは脳の神経細胞が一時的に異常な電気信号を発することで発作が起きる病気です。
発作には、意識を失って倒れるものから、数秒間だけ動作が止まる軽いものまでさまざまな種類があります。
この病気は珍しいものではなく、日本にはおよそ100万人の患者がいるといわれています。
さらに、子どもだけでなく大人になってから発症するケースもあり、50代になって初めててんかんを経験する人も珍しくありません。
長年トラックドライバーをしていても突然診断されることがあるのです。
トラックドライバーにとってのリスク
トラックは重量があり、一度コントロールを失うと被害が拡大しやすい車両です。
もし運転中に発作を起こし、意識を失ったらどうなるでしょうか?
高速道路での多重衝突、市街地での歩行者巻き込み、積み荷の散乱など、被害は計り知れません。
さらに、事故を起こせば刑事責任や民事責任を問われるだけでなく、会社や家族にも大きな影響を与えます。
物流業務が止まる可能性もあり、信用問題にもつながります。
これはドライバー自身にとっても、企業にとっても、非常に大きなリスクです。
道路交通法と免許制度
道路交通法では、てんかんなど意識障害を伴う病気がある場合、運転免許の取得や更新時に申告する義務があります。
ただし、てんかんだからといって一律に免許を取れないわけではありません。
発作が2年以上起きていない場合や、医師の診断で運転に支障がないと判断されれば免許を維持することも可能です。
しかし、虚偽の申告をして免許を取得した場合、発覚すると免許取り消しの可能性があります。
もしその状態で事故を起こせば、刑事・民事両方で大きな責任を負います。
てんかんを隠して入社するのは違法?
「黙っていればバレない」と考えて入社し、トラックドライバーとして働くことは非常に危険です。
雇用契約と虚偽申告
採用時に健康状態の申告を求められた場合、てんかんを隠すことは経歴詐称に該当する可能性があります。
もし発作で事故を起こしたら、懲戒解雇だけでなく、数千万円規模の損害賠償請求を受けることもあります。
実際にあったケース(架空例)
40代でてんかんを隠して長距離トラックを運転していたAさん。
ある日発作で意識を失い、多重追突事故を起こしました。
結果として懲戒解雇、数千万円の損害賠償、運転免許取り消しという厳しい現実に直面しました。
このようなリスクを考えれば、隠して働くことがいかに危険かは明らかです。
発作を誘発する要因と生活管理
てんかんは、生活習慣の乱れによって発作リスクが高まることがあります。
特にトラックドライバーに多い夜勤や長時間労働による睡眠不足、強いストレスは発作のきっかけになりやすいです。
さらに、一部の薬(抗うつ薬、強い鎮痛薬、眠気を伴う風邪薬など)やアルコール、違法薬物も発作を誘発する恐れがあります。
そのため、医師の指導を受け、薬を正しく服用し、睡眠と生活リズムを整えることが重要です。
てんかんと仕事の選択肢
てんかんを抱えていても、物流業界で働く道はあります。
例えば、運転を伴わない倉庫作業や仕分け作業、運行管理や配車業務などです。
また、医師の許可があればフォークリフトの運転も可能な場合があります。
無理に隠してトラックに乗るよりも、正直に申告し、自分に合った働き方を選ぶことが、長期的には安全で安定したキャリアにつながります。













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