はじめに
トラックドライバー歴20年以上、現在は高収入・安定した地場運行で家族を支えながら働いている僕ですが、過去にはブラック運送会社で地獄のような毎日を送っていた時期がありました。
求人誌に載っていた「月収40万円以上可」「ボーナスあり」の甘い言葉を信じて入社したその会社は、現実とはまるで違う、嘘と搾取にまみれた環境で、給料は実質日当3000円のときもありました。
整備不良の車両に乗らされ、フォークリフト免許もないのに現場に放り出されて案の定罰金まで取られる始末。
この経験があったからこそ、今の幸せを噛みしめながら働くことができているし、これからトラックドライバーを目指す人、今まさに苦しんでいる人に僕から伝えたいことがあります。
ブラック運送会社には絶対に入るな
この記事では、僕自身の体験をもとに、ブラック運送会社の特徴や見抜き方、そして転職の成功までの道のりを、完全版としてお届けします。
ブラック運送会社とは?体験者が語るリアルな実態
フォークリフトの免許なしで現場に放り込まれる
僕がブラック運送会社に入ってすぐに言われた仕事は、フォークリフトが必要な現場への積みおろし。
しかし当時の僕は、免許はおろか、フォークリフトに触ったことすらなかったのです。
当然会社には免許を持っていないし操作もできないと伝えましたが、返ってきた答えは「とりあえず時間がないから現場に行ってみて」という言葉でした。
拒否する意思を見せても、「大丈夫大丈夫」で終わり。
現場に放り込まれた結果、フォークリフトの爪で荷物を刺して破損。
その場で荷主に謝罪はしましたが、会社に報告すると「帰ったら始末書かいて」と言われ、さらに罰金、商品の弁償金を払わされる始末。
会社が無理やり行かせたのに、当たり前のように全責任は僕に。
下道で長距離&日当たったの3000円?
その会社で僕は、運賃の安い長距離案件ばかりを当てられていました。
ある時なんて、金曜の夜に積んで、月曜の昼に降ろすという4日間の仕事をすべて下道で走らされた。
当然、帰りも下道。
体もメンタルもボロボロ。
この4日間の支給された給料はわずか12000円。
1日3000円の計算です。
会社に「これじゃ生活できない」と訴えても、「みんな一緒だよ」と相手にしてもらえませんでした。
明らかにおかしいとおもい、先輩ドライバーの話を聞くと、「俺は金曜の夕方積み、土曜の朝に降ろして帰って2万以上もらってる」と言われました。
同じ長距離でも金額が全然違う。
新人には安い仕事しか回さない。
これが僕の勤めるブラック運送会社のやり方だったのです。
「新人だから日当1000円カット」という意味不明なルール
さらに驚いたのが、1年間は新人だから、1日1000円日当を引くというわけのわからない社内ルール。
トラックドライバーの世界では、基本的に独り立ちしたら全員平等です。
なのにこの会社では、「まだ1年未満だから」と言って、1日につき1,000円ずつ給料を削られる仕組みでした。
しかも一人立ちしてからそのことを伝えられました。
納得ができず抗議しましたが、「横乗りでも給料を出してあげてるよね?こっちもそのせいで赤字なんだよ」とあっさりと切り捨てられました。
年間で約30万円の損失。
まるで新人は安く使い倒すための制度。
これには本当に呆れたし、
「こんな会社、長くいたら人生終わる」
と思った瞬間でもありました。
配車係のパワハラ配車と差別待遇
僕はある時期から、仕事があるかないかも分からないまま出勤させられる日々が続きました。
出勤しても「今日はないから帰っていいよ」と言われるだけ。
もちろん給料はゼロ。
通勤のためのガソリン代もただじゃありません。
長距離運行の予定で準備して、赤ちゃんと嫁さんを実家に預けて出勤したのに、あっさり1分で帰らされる。
怒りと情けなさ、こんなブラックな運送会社に安易に入社してしまった自分の甘さで涙が出そうになりました。
明らかに僕はパワハラ的な扱いを受けていました。
配車係に嫌われたら仕事がもらえない。
気に入られる人だけが稼げる。
この会社にいた1年ほどは、まさに人生で一番貧乏な時期でした。
求人情報の嘘に騙されるな
求人誌の「月収40万円以上可」は本当なの?
僕がブラック運送会社に入社したきっかけは、ある求人誌の派手な広告でした。
そこには「月収40万円以上可能!」「賞与あり」「未経験歓迎!」と魅力的な言葉がズラリ。
自分に投資をし、大型免許を取得して家族のためにも稼ぎたいと思って応募したんですが、、、。
その内容、すべて嘘でした。
実際に支給された給料は、長距離走っても手取り16万円前後。
もちろん賞与なんて一度も出ていません。
整備士もいなければ、バックモニターも付いていない旧式のボロボロのトラック。
求人内容と実際の職場がまるで別世界だったんです。
「横乗り研修あり」、日当6000円、独り立ちは3ヶ月後
「研修あり・横乗り制度で安心スタート」と書いてあったので、未経験でも安心だと思いました。
たしかに横乗りはありましたが、日当はわずか6000円。
生活できる金額ではなく、貯金を切り崩しながらなんとか乗り切りました。
僕自身その時点でトラックに10年以上乗っていて、先輩ドライバーからは「もう1週間で独り立ちでOKだな」と言われました。
しかし会社からはトラックがないからという理由で独り立ちは伸びて伸びて3ヶ月後になり、結局ドライバーの誰かがやめるまで独り立ちすることができなかったのです。
仕事ができるのに、会社都合で働けない。
やめようにも、入社した時に契約書を書かされ、横乗り中にやめれば給料は0という条件にサインしていました。
まさかこんなことになるなんて思いもしませんでした。
横乗り最後の一か月は意地になって何とか続け、独り立ちしてからのたくさんお金を稼ぐという希望が支えでした。
「整備不良の車に乗れ」と命令される
この会社では、車両整備もずさんでした。
運行前点検でオイルが減っているのを報告しても、「今日は地場だから大丈夫でしょ」。
タイヤの溝がないと伝えても、「気をつけて走ってくれ」と返ってくるだけ。
時にはチャート紙(運行記録)を抜いて走れと指示されることもありました。
つまり、法令違反をしないと仕事が成立しない環境だったんです。
日報はすべてスマホで写メを撮って、証拠として残すようにしていました。
後から「そんな指示してない」と言われても、何も証拠がなければドライバーが不利になるだけですから。
チャート紙というのは、アナログ式のタコグラフ(運行記録計)で使う円形の紙のことで、「運転・停止・休憩」の時間がグラフとして記録されていきます。
運行時間・速度・距離などを証明する“公式な記録”なので、本来は絶対に改ざんしてはいけないもの。
それを抜いて走れというのは、「証拠を隠して違法な働かせ方をする」ということで、完全にアウト。
つまり会社が「違法な長時間労働をさせることを前提」に動いている証拠です。
こういったブラックな指示をされたときにも、日報や指示書を撮っておくことで、自分の身を守る証拠になります。
できればスマホやクラウドに残して、いざという時のために備えておきましょう。
ブラック運送会社の10の特徴と見抜き方
ブラックな会社で痛い目に遭った僕だからこそ、「こういう会社はヤバい」と断言できる特徴を紹介します。
応募前に見抜くためのチェックポイントとして活用してください!!
1. 求人情報がやたら派手・常に募集している
「月収50万円可!」「自由な働き方!」といった過剰な表現が目立つ求人には注意が必要です。
僕がいたブラック運送会社も、まさにこれです。
内容に惹かれて応募したものの、実態は全くの別物。
年中求人を出しているのも、すぐ辞める人が多く、常に人手不足だからです。
2. 常に「今すぐ来て!」と急かす
電話や面接の段階で、「とにかく早く来てほしい」「明日からでも入ってくれ」と急かしてくる会社も危険信号。
入社してくれるだけでありがたい=人材が定着していないということです。
3. 面接時の説明が曖昧
「どんな仕事か」「勤務時間は?」といった基本的な質問に対して、はぐらかされたり「まあ、やってみないと分からないよ」と言われたら注意が必要です。
入社後にこなす仕事が決まっていないという可能性があります。
求人を出すということは、業務拡大や、こなしてほしい仕事がある程度決まっているものです。
僕は面接で、地場ドライバーを希望をして入りましたが、人がいないからと長距離ドライバーをさせられました。
それに地場では仕事がないというのが理由でしたね。
4. ドライバーによって仕事量・給料が違いすぎる
同じ距離・荷物でも、人によって運賃が違う、待遇が違うのはブラック会社の特徴です。
新人だから、気に入られてないから、という理由で「安い仕事」「嫌なコース」ばかり回されます。
ありえません。
5. ドライバーの入れ替わりが激しい
常に新しい顔ぶれがいる会社は要注意。
辞める人が多い=労働環境に問題がある可能性が高いです。
僕のいたブラック会社では、1ヶ月〜3ヶ月でいなくなる人ばかりでした。
6. 整備不良のトラックをそのまま使わせる
整備士がいない、またはいても機能していない会社はブラック確定です。
こんな車に乗って事故でも起こしても、すべてドライバーの責任です。
7. 不当な罰金制度がある
傷をつけたらいくら、納品遅れたらいくら。
そんな社内ルールとして罰金を課す会社は完全にアウトです。
僕の同僚はトラックの髪の毛ほどの小さな傷で20万円の罰金を請求されていました。
トラックも元々ボロボロ、傷だらけ。
最初に言った荷物をフォークリフトの件ですが、確かに荷物を破損させたのは僕ですが、しっかり会社にフォークリフトを使う仕事は拒否したし、破損代の半分は会社が出すべきだと思います。
8. 明確な賃金制度がない・口約束ばかり
「仕事を覚えたら稼げるようになるから」「そのうち良い配車に回すよ」と言われ、実際にはいつまでも安い仕事ばかり回される。
仕事の明確な賃金がなく、後だしでこの「仕事は運賃が安いから給料はこれぐらい」というようなどんぶり勘定。
頑張って働いても何も報われず、会社都合でまともな生活すら送ることができない。
9. 有給や休みの希望が通らない
「うちは自由に休めるよ!」という触れ込みとは裏腹に、有給は使わせてもらえず、休みを申請しても文句を言われる。
中には、休みたいと伝えただけで仕事を干されるケースもあります。
一度休んだから定期便を外され生活が不安定になったドライバーもいました。
10. 待機時間が長い・無給
僕は出勤したのに「今日は仕事ないから帰って」と言われたことが何度もありました。
片道40分の通勤をして出勤したのに、一瞬で帰される。
もちろん給料はゼロ。
電話一本で済む話を、無駄な出勤をさせる。
完全に労働者を軽視している証拠です。
さらに、昼出勤して会社から待機を指示される。
「仕事をとるからちょっと待ってて」
それから夜になり結局仕事が取れずに帰宅指示。
そして無給。
ガソリン代引いたらマイナスです。
ブラック企業から抜け出すためにやるべきこと【4つのステップ】
「ここはブラックだ…」と感じたとき、すぐ辞めたい気持ちもわかります。
けど、生活のこと、家族のことを考えると慎重になる必要もあります。
僕自身も、泥水をすするような日々の中で、少しずつ抜け出す準備をしました。
ここでは、ブラック運送会社から抜け出すために必要な4つのステップを紹介します。
1. 辞めたいと思った時点で証拠を残す
違和感や不満を感じたら、その時点で記録を取り始めましょう。
「この一言が辛かった」「罰金を払った日」「不当な運行をさせられた」など、明確に思い出せるように記録することが、あとで自分を守ることになります。
特にLINEや口頭の指示内容などは、スクショや録音ができればさらにいいです。
2. 転職先を探しながら動く
急に辞めても収入ゼロになると正直キツいです。
求人の比較と情報収集をしながら準備しましょう。
そしてここで特に伝えたいのが、求人の言葉だけを信じないこと。
ブラック運送会社に入って後悔しているあなたなら甘い言葉にはもう惑わされませんよね。
情報収集は、求人だけじゃなく
現場の声
を聞くのが一番強いです。
たとえば、同じ荷主に出入りしている別業者のドライバーに直接話を聞く。
その会社の雰囲気、走行距離、給与のリアルなど、正直に教えてくれる人も多いです。
ドライバー同士のネットワークを使うことは、リアルなブラック情報の宝庫です。
ちなみに、今僕が働いている運送会社は一切求人を出していません。
ドライバー同士の紹介が主な採用ルート。
それだけ離職率が低く、人間関係のトラブルも少ない証拠です。
裏を返せば、「辞める人が少ない」「紹介したくなるほど職場が良い」ということです。
3. 自分の「これだけは譲れない」を決める
「月にいくら稼ぎたい」「週に何日休みたい」「地場がいい、長距離がいい」など、自分の基準をしっかり持つこと。
ブラック会社にいた頃、僕は手取り16万円、待機多め、整備ゼロ、罰金あり、下道オンリーの長距離と、すべてが崩壊していました。
でも次の会社では、週休2日、地場、手取り30万、整備バッチリ。
自分の基準を明確にすれば、ブラックを見抜ける目が養われます。
4. 転職エージェントを活用する
ブラック企業を避けるためには、業界に詳しい第三者の目が有効です。
とはいえ、「転職エージェントってなんか敷居が高そう」と思う人も多いはず。
僕自身、これまで利用したことはありませんが、実際に活用して転職を成功させたドライバーの話や、業界の情報を元に、メリット・デメリットを整理してみました。
メリット
- 非公開求人がある
一般の求人誌やネットに出ていない、待遇の良い隠れ優良企業の求人を紹介してもらえることがある。 - 企業の内情を教えてくれることがある
担当者が実際に会社に足を運んでいたり、過去の紹介実績があったりすると、
「離職率が高い」「人間関係が良い」「残業が多い」など、表に出ない情報が聞ける場合も。 - 条件交渉や履歴書の添削もしてくれる
給与や勤務時間など、自分では言いにくい条件を、エージェントが企業に伝えてくれることもあります。
デメリット
- 全てのエージェントが運送業に詳しいわけではない
中にはオフィスワーク系が得意な担当者もいるので、業界理解が浅いと的外れな求人を紹介される可能性も。 - 希望と違う求人をすすめられることがある
エージェント側もビジネスなので、自社にとって利益が出る求人を優先的に勧めるケースもゼロではない。 - 担当者との相性が悪いとストレスになる
自分の話をしっかり聞いてくれない担当者だと、逆に時間のムダになってしまう可能性もあります。
こんな人にはおすすめ!!
- ブラック企業にトラウマがあって、次こそは失敗したくない人
- 自分ひとりで求人を探す時間がない人
- 条件交渉や面接対策に不安がある人
エージェントにも相性がありますが、「無料で使えるプロの視点」として、一つの選択肢として考えておくのはアリです。
求人誌だけではわからない裏側の情報が手に入る可能性がある分、自分で調べる+エージェントの目を使う、というダブルチェックができるのは強みです。
辞める時の引き止め工作に注意!
ブラック運送会社を辞めようとした時、突然態度が変わって優しくなるなんてこともあります。
僕の場合、普段は見向きもしなかった所長が、辞めることを知って家まで謝りに来たことがありました。
「配車係が勝手にやったこと」「自分は関与していなかった」「これからはちゃんと稼げるようにするから残ってくれ」など、あの手この手で引き止めてきました。
これまでの仕打ちや理不尽を思い出せば、信用できるわけがありません。
言葉だけではなく、行動と待遇がすべて。
本気で労働環境を改善する気があるなら、辞めると言う前にやっているはずです。
こうした情に訴える引き止めも、ブラック企業のやり方です。
中途半端に情が移るとまたズルズルと働かされるので、冷静に「自分と家族の未来」を優先することが大切にしてください。
僕がブラック運送会社を辞めたきっかけと、人生の転機
とはいえブラックな環境から抜け出すのは簡単ではありませんでした。
でも、ある一本の電話が、僕の人生を大きく変えるきっかけとなりました。
後輩からの救いの電話
ある日、以前勤めていた会社の後輩から連絡がありました。
お互いの近況を話す中で、僕の厳しい状況を知った彼は、こう言ってくれたんです。
「うちの会社を紹介しますよ。ぜひ来てください!」
その言葉に、心が救われる思いでした。
面接で感じた希望
後輩の紹介で、その会社の面接を受けることになりました。
面接では、前職での経験や苦労を正直に話しました。
すると、面接官は真剣に耳を傾け、こう言ってくれました。
「リフトの免許を取ってくれれば、ぜひうちで働いてほしい」
さらに、仕事内容や待遇についても詳しく説明してくれました。
その誠実な対応に、ここなら信頼できるかもしれない、と感じました。
新しいスタートとリフト免許の取得
入社を決意し、まずはリフトの免許を取得することになりました。
正直、貯金も底をついていたので不安でしたが、未来への投資だと思い頑張りました。
免許取得後、横乗りの5日間を終え独り立ち。
- 週休2日制
- 地場配送中心
- 手取り30万円
- トラックの整備も行き届いている
面接のときに聞いていた内容と完全に一致。
前の会社とは雲泥の差でした。
家族との時間も増え、精神的にも安定しました。
人生の逆転劇
新しい職場での経験を積む中で、さらに高収入を得るチャンスも広がりました。
今の運送会社はもう10年以上働いていますが、その間に新し家族も増え、新築の一戸建てや500万円する車を買い、ブラック企業での苦労が嘘のように、充実した日々を送れるようになっています。
年収は740万。
仕事は大変ですが本当に今僕は幸せです。
この経験から学んだことは、「環境を変える勇気」と「正しい情報収集」の大切さです。
さいごに僕が伝えたいこと
ふりかえれば、あのブラック企業で働いた経験は、今の自分にとってある意味貴重でした。
あの時の地獄がなければ、後輩の誘いにも乗らなかったし、ここまで本気で人生を変えようとは思わなかったかもしれません。
でも、、、、
本当にきつくて、つらくて、苦しかった。
家族にも迷惑をかけ、自分の心も削られていきました。
だから、これを読んでいるあなたには、そんな思いを絶対にしてほしくありません。
「この会社はダメだ」と感じたら、どうか勇気を持って、一歩踏み出してください。
今よりもっと良い職場は、必ずあります。
その場しのぎではなく、希望のある未来を選んでください。
心から、応援しています!!
僕が現在勤める運送会社はすぐに来てくれとか急かされることはありませんでした。面接をし、採用。その後フォークのリフトの免許を取得したら連絡をしてくれと言われ、安心して入社準備をすることができました。